土で描く「土ポセミン」と、背負って運んだ大きな絵。猪苗代「空白」での個展|腐るラジオ #7「ポセミン、本格始動で腐る」

土で描く「土ポセミン」と、背負って運んだ大きな絵。猪苗代「空白」での個展|腐るラジオ #7「ポセミン、本格始動で腐る」 podcast

須賀川に来た年の夏、松本悠以さんは猪苗代のギャラリーとセレクトショップ「空白」で、2回目の個展を開きました。大玉村での個展が20代の集大成だったのに対して、今回はポセミンだけの展示です。

この2か月の展示から、猪苗代の土で描く「土ポセミン」が生まれました。大きな絵を背負って電車で運んだ搬入、ポセミンと歩く猪苗代、絵本のような展示、そして東京のアートフェアへの挑戦まで、ポセミンが本格的に動き出した日々を聞きました。

この回の話題

時間話題
00:03GALATA COFFEEの営業中に絵を描いていたころ
01:08猪苗代「空白」での個展へ
02:152024年夏、ポセミンだけの展示
03:20来た人が描いたポセミンも飾る
04:23新しい技法「土ポセミン」
05:23猪苗代の土で描く
06:26何か生えてくるかもしれない作品
07:27りかさんとの企画、その1
08:29大きな絵を背負って、猪苗代まで
10:33免許がない、を面白い企画に
11:37ポセミンが電車に乗っているみたい
12:45りかさんとの企画、その2
13:50ポセミンと歩く猪苗代、遊覧船にも
16:01展示中に生まれた、作家同士の交流
17:03絵本のような展示「ちぐはぐハグ」
18:07東京のアートフェアに挑戦
20:11ポセミンのスタイルが確立されていく

ポセミンだけの個展

2024年の夏、空白の店長・りかさんの誘いで開いた個展は、約2か月間。大玉村での個展は、建築の絵なども含めたこれまでのまとめでしたが、空白では、ポセミンだけを展示しました。

ポセミンを見に来た人だけでなく、ふらりと立ち寄った人や県外の人もたくさん見てくれて、確実にファンが増えた手ごたえがあったそうです。ここで出会い、今も応援してくれている人がたくさんいます。

2か月あったので、展示はどんどん進化させました。来た人が自分なりに描いたポセミンを壁に貼ったり、床にマスキングテープで植物を生やしたり、りかさんと撮った写真を飾ったり。

猪苗代の土で描く「土ポセミン」

この個展で生まれたのが、土で描く「土ポセミン」です。りかさんから、猪苗代をテーマにした作品もほしいと言われ、何がいいかと考えたときに思い浮かんだのが土でした。

土は、空白の敷地内で、取っていいと許可をもらった場所から。持ち帰ってアトリエで作業していると、虫が出てくることもあったとか。いつものピンク色のポセミンとは違い、土のトーンで、立体感もある。それでもどこか、ピンクのかわいらしさを感じる不思議な作品です。

自分でも土で描くのは初めてだったので、「何か生えてくるかもしれませんが、大丈夫ですか」と伝えながら販売。それを楽しいと言ってくれる人が多かったそうです。「ほっぺから何か生えてきたら教えてください」。場所が変われば、土の色も、含まれる成分も違う。土ポセミンは、ここから続いていきます。

大きな絵を背負って、猪苗代まで

りかさんとは、2つの企画を一緒に考えました。ひとつ目は、個展初日。身長より少し小さいくらいの大きなポセミンの絵を、何も包まずに松本さんが背負い、アトリエから猪苗代の空白まで、自分の足で届けて展示をスタートするというものです。

きっかけは、松本さんが車の免許を持っていないこと。搬入と搬出はいつも悩みどころで、今回も作品のほとんどはりかさんに車で運んでもらいましたが、大きな絵だけはどうしても車に入らない。ふたりで悩んでいるうちに「もう運んじゃおう」「その様子を映像にして、会場で流そう」となりました。欠点を、面白い企画に変えたのです。

ポセミンが電車に乗っているみたい

前日にストーリーズで手伝ってくれる人を募集し、手を挙げたのがGALATAのふたりと、シナモンさん。アトリエのあるビルの急な階段を下ろし、須賀川駅まで15分ほど歩きます。途中、車がわざわざ戻ってきて「それ何?」と聞かれることも。

当時の須賀川駅にはエレベーターがなく、階段では知らない人も手伝ってくれました。ポセミンを背負った松本さんが電車に乗る姿は、まるでポセミンが電車に乗っているよう。隣の安積永盛駅からはりかさんが乗車してカメラを回し、郡山でシナモンさんと合流。磐越西線に乗り換えて猪苗代駅へ。風にあおられながら会場まで歩き、無事に届けました。その動画は、空白と松本さんのInstagramで見ることができます。

ポセミンと歩く猪苗代

ふたつ目の企画は、立体のポセミンと一緒に猪苗代を歩き、りかさんがシャッターを切るというもの。ごはん屋さんにも一緒に入り、遊覧船にも乗りました。席はとるのに、料金は人間の分だけ。白鳥の船と話しているような写真も撮りました。写真には詩を添えて展示しました。

作家同士の交流と、絵本のような展示

展示期間中には、空白の企画で他の作家さんたちが訪れ、交流も生まれました。「こうしてみたら面白いんじゃない?」とアドバイスをもらい、その場でみんなで試したり、土ポセミンを火であぶってみたり。とても楽しかったそうです。

絵は、絵本のような形で展示しました。物語をつくって発表し、そのタイトルが個展の名前にもなった「ちぐはぐハグ」。本を見開きで開いたような形で展示するのは、初めての挑戦でした。この絵の一部は、GALATA COFFEEの営業中に描いていたもの。絵と物語は、松本さんのInstagramにすべて載っています。

東京のアートフェアへ

その後の新しい挑戦は、東京で開かれた大規模なアートフェア「インディペンデント東京」。このときもGALATAのふたりが、大きなポセミンを車で東京まで運びました。

ブースに作品を並べる会場は、空白の展示とは対極の、ピリピリとした緊張感のある「戦いの場」。結果はさんざんだったけれど、いい出会いがあり、いいお客さんにも出会えたので、それでよかったと松本さんは話します。アートの世界はこういう感じなんだ、とGALATAのふたりにとっても衝撃だったそうです。

大玉村のころはまだ小さかったポセミンが、須賀川に来て一気に主役に。今の松本さんのスタイルが、だんだんと確立されていきます。

印象に残った一言

欠点を、変換するっていうか。面白い企画に変換して、展示の新しい形にできたんです。

前後の回

出演者

  • 松本悠以:アーティスト、作家、畑の仕事をする人。「循環」「腐る喜び」をテーマに、ポセミンが登場する作品をつくる。Instagram
  • はな & 隆志:移動販売の珈琲屋「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。ウルトラFM「サンライズすかがわ」月曜パーソナリティ