建築ではなくアートでいく。そう決めるきっかけになったプロジェクトとともに、松本悠以さんは須賀川へやってきました。始まりは、ほとんど誰も通らなかった路上販売の日の出会いでした。
中町のビルのリノベーション、絵描き仲間3人のシェアアトリエ、アーティストカフェ、毎週のポセミンカフェ、そしてポセミン神社。知り合いがひとりもいなかった須賀川で、人がつながっていった日々を聞きました。
この回の話題
| 時間 | 話題 |
|---|---|
| 00:04 | 須賀川に来るきっかけは、大家さんとの出会い |
| 01:04 | 物件の設計者探しから、佐藤研吾さんへ |
| 02:08 | 人がいなかったから、ゆっくり話せた |
| 03:12 | 古いビルの内装を整える |
| 04:15 | スピードについていけなかった現場 |
| 05:15 | 最初から3人のシェアアトリエ |
| 06:20 | やむちゃん、しこちゃん、3人の絵描き |
| 07:23 | 作品をイメージしたドリンクのアーティストカフェ |
| 08:24 | やむちゃんとの出会い |
| 10:31 | しこちゃんとは、郡山のカフェで |
| 11:40 | シェアアトリエ「お茶目」 |
| 12:44 | ポセミンカフェとポセミンクッキーの誕生 |
| 14:51 | 展示スペースのこけら落とし「ポセミン神社」 |
| 16:54 | GALATA COFFEEの後ろで絵を描く |
| 17:54 | 歩けば知り合いに会えるまち |
| 18:59 | 濃い常連さんが集まるポセミンカフェ |
| 20:01 | 6月、猪苗代の「空白」で2回目の個展へ |
誰も通らない路上販売の日に
須賀川との縁は、路上販売の日に生まれました。元町のあたりで販売していたその日は、なぜかほとんど人が歩いていなかったそう。物はまったく売れなかったけれど、話しかけてくれたのが、今のアトリエがある建物の大家さんでした。
リフォームをしたいけれど、設計者がまだ見つかっていない。そんな話を聞いた松本さんが、大玉村でお世話になっていた建築家の佐藤研吾さんを紹介。そこから、中町のビルのプロジェクトが始まります。お客さんがたくさんいたら、ゆっくり話すこともできなかったかもしれない。「不思議な日でした」と松本さん。
古いビルの内装を整える
とても古いビルを、大きく改修するのではなく、内装を整えていくプロジェクト。松本さんもデザインを一緒に考えさせてもらいましたが、その部分の設計は結局使われなかったそうです。
佐藤さんの設計を、どうしたら実現できるかを考える側に回り、自分の設計を入れていく余地はなかった。何より、そのスピード感についていけなかった。とても勉強になった一方で、「やっぱり建築じゃなくて、アートにしよう」という結論につながっていきました。
3人のシェアアトリエ
大家さんは、ビルの中のスペースをアトリエとして使っていいと言ってくれました。松本さんが声をかけ、最初から3人のシェアアトリエとしてスタート。メンバーは、絵描き仲間のやむちゃんと、しこちゃんです。
3人とも同世代で、絵は驚くほど三者三様。並んでいるとかわいい、とGALATAのふたりも口をそろえます。シェアアトリエの名前は「お茶目」。
作品をイメージしたアーティストカフェ
3人は、ビルの1階にできたシェアキッチンで、数か月に1回、アーティストカフェも開いていました。原画を飾り、それぞれの作品をイメージしたドリンクやデザートを考え、コースターもつける。グミの入ったカラフルなフルーツポンチ、パフェ、コーヒーゼリー。夏の暑い日に、楽しく続けていたそうです。
やむちゃん、しこちゃんとの出会い
もともと仲良しだったわけではなく、ふたりとは福島に来てから、別々の時期に出会いました。やむちゃんとは、以前あるイベントで一緒に展示と物販をしたのがきっかけ。そのとき松本さんは、佐藤さんの事務所で出た端材を使って、ポセミンの立体をつくって持っていっていました。実はGALATAのふたりもそのイベントを見に行っていて、暗がりの中のピンク色が目立っていたのを覚えていたとか。
しこちゃんとは、郡山のカフェ「WEEKEND」の周年の日に、たまたま隣の席に。店主の小川さんがつないでくれて仲良くなり、大玉村での個展にも来てくれました。ふたりの作品をとても尊敬していて、シェアアトリエをやるなら、このふたりを誘いたいと思っていたそうです。
ポセミンカフェと、ポセミンクッキー
アーティストカフェとは別に、松本さんは毎週そのシェアキッチンで「ポセミンカフェ」を開くようになりました。大家さんがシェアキッチンを始めると聞き、アトリエのメンバーと話していたら「ポセミンカフェ、面白いじゃん」「ポセミンクッキーとか絶対かわいい」と盛り上がったのがきっかけ。ポセミンクッキーも、ここで生まれました。
今は回数を減らして不定期開催に。それでも、さまよってたどり着いた人が常連になってくれるなど、面白くて「濃い」常連さんがどんどん増えているそうです。
こけら落としは「ポセミン神社」
ビルの中には、展示スペースもできました。建築の人に頼んで部屋を整えてもらい、松本さんも手伝って完成。最初の展示が、お正月の「ポセミン神社」でした。
大家さんに誘われてお餅を焼きに行ったGALATAのふたりは、2階にピンク色のかわいらしい神社を見つけ、手を合わせてその年の願い事をしたそうです。はなが松本さんと知り合ったのは、このときでした。
歩けば知り合いに会えるまち
その後、GALATA COFFEEもこのシェアキッチンを使うようになり、営業中の後ろのスペースで松本さんが絵を描かせてもらうことに。天窓から光が入る中、床に座って絵を描く姿。須賀川に知り合いがいなかった松本さんにとって、ここで知り合いがたくさんできたといいます。ウルトラFMの麻野さんと知り合い、ラジオに出るきっかけもここから。
須賀川は、歩けば知り合いに会えるところ。GALATAのふたりにとっても、松本さんがいて、ポセミンの絵が置かれ、松本さんが人を呼んでくれることで、奥まった場所にあるお店がにぎやかになったのはありがたかったそうです。
猪苗代の「空白」で、2回目の個展へ
須賀川に来た年の6月、猪苗代のギャラリーとセレクトショップ「空白」で、2回目の個展を開きました。店長のりかさんは、松本さんが大玉村にいたころ、ポセミンの活動を始めたばかりのときから「いいね」と言ってくれた人。ご夫婦で築250年の家まで来てくれ、郡山のお店のマルシェにも誘ってくれました。その展示の話は、次回に続きます。
印象に残った一言
路上販売は全然人が歩いてなくて、物は全然売れなかったんですけど、建物の話が来るっていう、不思議な日でした。
前後の回
出演者

- 松本悠以:アーティスト、作家、畑の仕事をする人。「循環」「腐る喜び」をテーマに、ポセミンが登場する作品をつくる。Instagram
- はな & 隆志:移動販売の珈琲屋「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。ウルトラFM「サンライズすかがわ」月曜パーソナリティ
