すべてを失って、なぜか安心した。タンザニアで強盗にあった木村さんの話|Kimura’s Choice #3「強盗にあったとき」の選択

Kimura’s Choice #3「強盗にあったとき」の選択 podcast

webコンサルタントとして働きながら、国内外いろいろなところを旅する木村修平さん。「Kimura’s Choice」は、GALATA COFFEEのはなと隆志が、木村さんのこれまでの「選択」と、その理由を聞いていく番組です。

第3回は、世界を旅した話の続き。東南アジアからインド、トルコ、そしてアフリカへ。旅の途中、タンザニアで強盗にあってしまいます。すべてを失ったとき、木村さんが感じたのは、意外にも「安心」でした。

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この回の話題

時間話題
00:04行き先は「物価が安くて、あたたかいところ」
00:53インドに3か月。ガンジス川で考える時間
01:38iPhone 5の時代。ネットは宿のWi-Fiだけ
02:29就活を終えた友達のSNSに、毎日不安
04:04若いうちに、まったく違う文化に触れられた
04:58トルコからアフリカへ
06:36アフリカの「ゴールデンルート」
07:25強盗で有名な3つの街
08:13タンザニアで、偽のバスに乗ってしまう
11:27奪われたもの、返してもらったもの
13:54歩いて大使館へ
14:40失うものがなくなって、安心した

ガンジス川を眺めて過ごした3か月

旅したのは40か国ほど。行き先を選ぶ基準は「物価が安いところ」と「気温があたたかいところ」。あたたかければ荷物も少なくて済みます。まずは東南アジアをぐるっと回り、インドには3か月滞在しました。

ガンジス川は毎日のように見られた。とはいえ、何かを悟ったわけではなく、人や牛はいても、ただ誰も知り合いがいない場所で「これからどうしようかな」と考える時間があった。それがすごくよかったそうです。

スマホを開けば、就活を終えた友達

当時はiPhone 5のころ。海外のSIMカードは高く、ネットは宿のWi-Fiだけ。宿を出たら、散歩するか誰かと話すくらいしか暇つぶしがありませんでした。

考える時間が多い分、不安もあったのでは?と聞くと「毎日不安でしたね」。Instagramが広まり始めたころで、スマホを開くと、就活を終えて遊んでいる友達や、インターンでスーツを着てバリバリ働く友達の姿。「俺、このままで大丈夫なんかな」。ガンジス川のほとりで、毎日そう思っていたそうです。

それでも、日本に帰ってからのことより、目の前の刺激が楽しかった。考えていたのは「次はどの国に行こう」。働き始めてからだと、時間の都合で行けるのは近い国ばかり。近い国は文化も似ています。若いうちに、肌の色も文化も言葉もまったく違う場所へ行き、相手を否定せずに「なんでそうなん?」と素直に受け止められたのは、本当によかったと振り返ります。

アフリカの「ゴールデンルート」へ

インドのあとは、陸路でヨーロッパの手前のトルコへ。そこからは飛行機でエジプトに入り、アフリカへ。アフリカは電車がほとんど通っていないので、移動はバスです。

目指したのは、治安が比較的いいとされるアフリカ東側を、エジプトから南アフリカのケープタウンまで下っていく「ゴールデンルート」。ただ、そのルート上にも、強盗で有名な街が3つあります。ケニアのナイロビ、タンザニアのダルエスサラーム、南アフリカのヨハネスブルクです。

ナイロビでは家の窓という窓に鉄格子。泊まったホテルも1週間前に武装強盗が入り、木村さんが座っていた席の人が財布を盗まれたばかり。それでも普通に営業している。そんなナイロビをなんとか乗り切って、「いけるわ」とすっかり天狗になっていたそうです。

偽のバスに乗ってしまう

次のダルエスサラームでバスを待っていたとき。向こうのバスは、ハイエースのようなバンです。行き先の看板も出ていたので乗り込むと、中には体の大きな男たちが4人。最初は普通に接してくれていたものの、車は小道に入り、原っぱの真ん中で止まります。

次の瞬間、1人が右手、1人が左手、1人が体を押さえ、1人がナイフ。見事な連携プレーでした。そのときは、怖さより驚きのほうが大きかったそう。手首にくくりつけていたスマホを守ろうと抵抗しましたが、思いきり首を絞められ、「あ、俺、死にそう」と思ったところであきらめました。

メモリーカードだけは返してもらった

盗られたのは、パソコン、一眼レフ、現金、キャッシュカードから引き出されたお金、服まで。お金になるものが目当てで、パスポートだけは残されました。お金を隠していた場所も聞かれ、嘘をつくと殴られるので正直に答えた。そんな中、最後に「メモリーカードだけは返してくれ」と頼むと、返してもらえたそうです。

運転手も仲間で、バスそのものが偽物だったのでしょう。原っぱの真ん中に置き去りにされ、スマホもない。知っていたのは「都市に日本大使館がある」という情報だけ。人に聞きながら1時間ほど歩いて着いたのは、夕方5時15分。大使館は9時から5時まで。閉まっていました。その前で一晩過ごし、翌朝、警備員にライフルを向けられて目を覚まし、事情を説明して中に入れてもらいました。

失うものがなくなって、安心した

タイでの経験と、このアフリカでの経験が、旅の中でいちばん大きかった。そして今思えば、強盗もいい経験だったと木村さんは言います。「人間、失うものがなくなったときって、めっちゃ安心するんですよ」。

もともと貧乏性で、「これ、あったら使うかも」と物を捨てられないタイプ。あたたかいところしか行かないのに、バックパックには分厚い服が入っていました。それが全部なくなっても、なんとかなった。事情を話せば、ご飯をくれる人もいる。物に囲まれていた人生観が、そこでガラッと変わったそうです。

隆志さんいわく「世の中は断捨離って言ってるけど、強制的に体感してる」。旅の始まりからまだ2年は経っていません。自分探しの旅で見えてきたヒントは、このあとどうつながっていくのか。続きは次回です。

印象に残った一言

人間、失うものがなくなったときって、めっちゃ安心するんですよ。

出演者

  • 木村修平:webコンサルタント。平日は広告代理店、休日は効率化支援。2か月に1回は海外へ
  • はな & 隆志:移動販売の珈琲屋「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。ウルトラFM「サンライズすかがわ」月曜パーソナリティ

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