福島の“声”を世界へ。エシカルWebメディア「ff_私たちの交換日記」と、福島で生きる女性たち|妻とか、母とか、娘とか、女とか。#5

福島の“声”を世界へ。エシカルWebメディア「ff_私たちの交換日記」と、福島で生きる女性たち podcast

前回の終わりに話題にのぼった、美郷さんが運営するエシカルWebメディア「ff_私たちの交換日記」。今回はその成り立ちとコンセプトを、じっくり聞きました。

衣食住に「美」を足した理由。厳しさではなく「続けられること」を大切にするサステナビリティ。そして、書き手たちを通して美郷さんが感じてきた、福島で生きる女性たちのこと。自分の声を持つことの大切さについて、熱く語ってくれました。

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この回の話題

時間話題
00:30前回の続き:世界で知られている福島
02:00諦めないで、声を出してほしい
02:50エシカルWebメディア「ff_私たちの交換日記」
04:00noteで始まった、4人の交換日記
05:00メンバーとの出会い
06:30「体重の乗った」文章
07:40取り上げるのは、100年後にも残したいもの
08:10衣食住に「美」を足した4つのカテゴリー
09:00厳しさと「続けられること」
10:00ベストではなく、ベターを選ぶ
11:00自分の「ちょうどいい」を知る
12:30福島の女性たちの素晴らしさ
13:00素晴らしいのに、抑圧されている
15:30書いてみたら「あったじゃん」
16:40県外へ出ていく若い女性たち
18:00面接で家族構成を聞かれる衝撃
19:00「つぎ手」を増やしたい
20:40いまの悩みは、仲間がほしい
23:20Nafshaに泊まるには
26:50早口とあいづちを反省

noteで始まった、4人の交換日記

「ff_私たちの交換日記」は、福島にゆかりのある人や住んでいる人の等身大の視点で、福島の魅力的なもの、人、ことを伝えるWebメディア。2022年ごろにWebメディアとしてリリースしました。

もとはnoteで、4人のメンバーがリレー形式で書いていたことから「交換日記」。小文字の「ff」は、音楽記号のフォルテッシモから。最初のころはお手紙予約にも似ていて、内省的な文章も多く、ドラマチックに書きすぎない良さがあったそうです。メンバーは、美郷さんが移住してからつながった人たち。自然素材のお店を営む人や、郡山を拠点にエコな暮らしを実践・発信している人など、サステナビリティに意識のある人たちに声をかけました。みんなライター経験はなかったけれど、関係なかったといいます。

今の書き手は、狙ったわけではないけれど全員女性。プロっぽいというより「体重の乗った文章」だと隆志さんとはなさん。須賀川の話題も多く、身近に感じながら読めるのだそうです。

衣食住に「美」を足して

取り上げるのは、頼まれたものではなく、美郷さんたちが取り上げたいと思った人やもの。基準は、福島にゆかりがあって、100年後にも残していきたいものかどうか。東京で流行っているから、という理由ではお話にならないそうです。

カテゴリーは「衣」「食」「住」に「美」を加えた4つ。衣食住は、震災のあとに美郷さんが感じた暮らしの大切さにつながるもの。「美」には、アートや、Nafshaで学んだクリエイティビティ、あり方のような、少し概念的なものを込めています。

厳しさと、続けられること

衣食住だけに偏ると、エコやエシカルは厳しめになりがち。でも、サステナビリティとは、続けること。厳しさと続けられることは、イコールになりにくい。だからこそ、余白や心地よさを含んだ「美」が欠かせないと美郷さんは考えました。

家づくりのとき、業界の人に相談すると「エコやエシカルをうたうと難しくなるよ」と言われたそうです。でもそれは勘違いだと美郷さん。この素材を使わなければだめ、という話ではなく、身の丈に合った範囲で、続けられるベターを選んでいくこと。少しプラスチックが入っていても、ものすごく気に入って大切に使い続けるなら、それはサステナブルだといいます。そのためには、自分にとっての「ちょうどいい」を知ることが大切。それは、とても大変な作業でもあります。

素晴らしいのに、自信がない

福島に戻ってきて美郷さんが感じたのは、福島の女性たちの素晴らしさ。そして同時に、ものすごく抑圧されている、ということでした。はなさんは、正直あまり感じていなかったそうです。

仕事ができて、若くしてお母さんになり、妻であり、介護をしている人もいる。それなのに、全然自分に自信がない。ffのメンバーにもそういう人が多く、美郷さんは本当に不思議で、もどかしく思ってきました。

「書けない」と言っていた人も、書いてみたら「あったじゃん、あなたの声」となる。書き手が女性になったのはたまたまだけれど、その積み重ねを通して、こんなに素晴らしい女性たちが輝けていない、という福島のもうひとつの課題を、美郷さん個人として感じるようになりました。

県外へ出ていく、若い女性たち

実際、福島県は若い女性の県外への流出率が、全国でもワーストに近い水準にあるといいます。魅力的な仕事が少ない、評価されにくい、結婚や出産で仕事を続けにくい。美郷さん自身も福島で就職活動をしたとき、面接で家族構成を聞かれたことに衝撃を受けたそうです。15社以上受けてきて、そんなことを聞くのは福島の企業だけだった、と振り返ります。

自分の声を持ってほしい

ffでは、書き手のことを「つぎ手」と呼んでいます。つぎ手を増やしたいのは、メディアを大きくしたいからだけではなく、ひとりひとりに自分の声を持ってほしいから。それが、福島から世界へダイレクトに発信することにもつながります。

SNSで愚痴をこぼすのではなく、自分の言葉として熟成させ、磨いてアウトプットすれば、耳を傾けてくれる人は結構いる。美郷さんは、それを本気で信じて活動しています。

今の悩みは、子育ての忙しさでなかなか更新できていないこと。編集者として書き手を育てるだけでなく、同じ視点で共感し合える仲間と、チームで育てていきたい。特に女性はライフイベントで手が止まりがちだから、支え合いながら続けていけたら、と話します。これまでの記事は、季節ごとに読み返しても飽きないもの。ぜひ読んでみてください。

Nafshaに泊まるには

Nafshaは現在休業中ですが、須賀川の人が泊まってももちろん大歓迎。定員は大人3人まで。小学生くらいまでの子ども2人と大人2人がマックスです。トイレやお風呂、キッチンは共用で、夫婦は2階で暮らしています。夕食は、季節のおすすめを一緒につくって食べることがほとんど。朝はデンマークのような景色の中を散歩して、タイミングが合えば、山の案内をしてもらえることもあるそうです。

最後に美郷さんは、第1回、第2回の早口とあいづちの多さを反省。子育て中の焦りが出ていた、と笑います。世の中のお母さんの頭の回転の速さを代弁した、いいアーカイブになったのかもしれません。

印象に残った一言

こんなちっぽけな声だけど、絶対に届くから。届かせ方を知っていれば。

前後の回

出演者

  • 佐藤美郷:南相馬市出身の編集者・ライター。メディア「ff_私たちの交換日記」とゲストハウス「guesthouse Nafsha」を運営するローカルエディター
  • はな & 隆志:移動販売の珈琲屋「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。ウルトラFM「サンライズすかがわ」月曜パーソナリティ