完成しすぎていない、それがいい。抽象画に潜る楽しさと、りかさんからのエール|腐るラジオ #18「KUUHAKU店長 りかさんと腐る(part3)」

完成しすぎていない、それがいい。抽象画に潜る楽しさと、りかさんからのエール|腐るラジオ #18「KUUHAKU店長 りかさんと腐る(part3)」 podcast

KUUHAKUの店長・りかさんを迎えたゲスト回、最終回です。19か所の景色を描いたポセミンの最後の1枚から、抽象にすることで見えてくるもの、空白の空間づくり、そして「完成しすぎていない」ことへの思いまで。

付き合いの長いふたりならではの、肩の力の抜けたやりとりと、りかさんから松本悠以さんへのエールをお届けします。

この回の話題

時間話題
00:0119枚は、歩いた順番
01:05最後の1枚は、赤さびの螺旋階段
02:05猪苗代の廃墟ロード
02:30何を描いたかは、わからなくてもいい
03:11抽象画を通して、見る人の中に潜る
04:19足し算ではなく、引き算の空間づくり
05:25いい意味で、癖のある人たち
06:26巻き込んで、一緒につくる
07:27完成しすぎていないのが、自分の特徴
08:27アーティストが変われば、お客さんも変わる
10:34行き帰りの車で、いろんなことを話す
11:38噂のナポリタン
12:38りかさんからのエール
13:402年前とは、話す内容も変わってきた
14:40最初は「ちょっと怪しい」と思われていたポセミン
16:4630年後のパンケーキパーティー

最後の1枚は、赤さびの螺旋階段

19枚の並びは、松本さんが歩いてシャッターを押した順番。最初の1枚は、列からはみ出した雲の中の磐梯山。そして最後の1枚は、植物がわさわさと茂る建物に、赤さびた螺旋階段の色がカーンと映えていた場所です。建築を学んできた松本さんは、こういう構造物が好きなのだそう。

猪苗代の街なかには、営業をやめた建物がたくさん。りかさんが「ここから駅に向かって歩いてみて」と最後に降ろしてくれた道は、まさに「廃墟ロード」でした。建物がとても面白い場所です。

抽象画を通して、見る人の中に潜る

何を描いたかは、わかってほしいのか。わかってくれたらうれしいけれど、わかるのは難しいと思う、と松本さん。それよりも、見た人それぞれに浮かんだ景色を聞くのが好きなのだそうです。

景色を描いたのに、抽象にすることで、その人の記憶の中にある近い景色が思い出される。「ここなんじゃない?」という答えに、その人らしさが出る。抽象画を通して、毎回その人の中に潜るような感覚が楽しい。だからタイトルも、情報のない無機質な緯度と経度にしました。

引き算の空間づくり

りかさんも、ゼロから始めて、やっていく中でアートを知ってきたひとり。どう見せたらどう見えるか。やりすぎないこと、足し算ではなく引き算のほうがいい作家さんもいること。作家さんのやりたいことが見えていればそれに沿い、どうしたらいいかわからない人とは一緒に考えてつくり上げてきました。詳しくなくても「この絵にひかれる」という感覚はあっていい。それを、ここで何度も経験してきたといいます。

いい意味で、癖のある人たち

アーティストは、いい意味で癖のある、個性的な人が多い。それぞれのペースもある。その中でも松本さんは、「唯一無二感はだいぶ強い方」とりかさん。

いろいろなことに挑戦しながら、ぶつかることもきっと多い。それでも、人に助けられている。それは、松本さんだからこそ、みんなが協力したいと思ってくれるのだと思う、とりかさん。塗り絵を天井から吊るすときも、お客さんが一緒に手伝ってくれました。

完成しすぎていないのが、自分の特徴

松本さんには、「ギャラリーです、絵を飾っています」という空間より、ちょっとわちゃわちゃした空間のほうが自然でいられる。だからあえてジャングル感を出したり、プラスして置くものもある、とりかさん。

その言葉に、松本さんは深くうなずきます。完成しすぎていない、ちょっとダサいところがあるのが自分の特徴なのかもしれない。それはコンプレックスでもあったけれど、それでいいのかもしれないと思えた。完成されすぎていると、応援しろがない。近寄りがたくなってしまう、とGALATAのふたりも共感します。

アーティストが変われば、お客さんも変わる

お店だけなら、KUUHAKUの色に合うお客さんが来る。でもいろいろなアーティストを呼ぶことで、そのアーティストを求めて来る人が加わり、お客さんが変わっていく。観光地で、ほかのお店も入る施設なので、別のお店を目指してたまたま来た人が「何ここ」とはまってくれることもあります。

松本さんを目指して来た人は、見方がまったく違うのですぐわかるそう。入場料はないので、アートに興味のない人もさらっと見ていき、「なんかいいな」と作品を迎えていくことも。小さな子が「ポセミン、ポセミン」と走り回る姿も見られます。

りかさんからのエール

ふだんは、駅まで迎えに行ってそのまま一緒に出勤する仲。片道40分の車内では、いろいろなことを話していて、最近は食べ物の話ばかりだとか。旦那さんがつくるナポリタンがとてもおいしい、という噂にも話が広がりました。

改めて松本さんへの言葉を求められたりかさんは、「そのまま、いろいろ挑戦していってほしい」。挑戦する場に声がかかることも、きっとこれから増えていく。そういうところにポンと飛び込める松本さんで、そのまま行ってほしい、と。

最初は「ちょっと怪しい」と思われていたポセミン

2年前と比べて、ふたりが話す内容も、人生のことなど少しずつ変わってきました。最初のころ、ポセミンはイベントに一緒に出ても「何これ、ちょっと怪しい」という目で見られることもあった。今は、松本さんやポセミンに会いに来る人が本当に増えた、とりかさんは感じています。

それでも松本さんは、最初から当然のように「ご存じポセミン」と売っていた。「あのころのハートは何だったんだろう」と笑う松本さんに、「それがよかったんだよ。ほかにもピンと来てくれる人がきっといる」とりかさん。30年後にパンケーキパーティーをしようと約束して、ゲスト回は締めくくられました。

印象に残った一言

そのまま、いろいろ挑戦して。そういうところにポンって飛び込めるゆいちゃんで、そのまま行ってもらえたらうれしいなって思ってます。

前後の回

出演者

  • 松本悠以:アーティスト、作家、畑の仕事をする人。「循環」「腐る喜び」をテーマに、ポセミンが登場する作品をつくる。Instagram
  • はな & 隆志:移動販売の珈琲屋「GALATA COFFEE」を夫婦で営む。ウルトラFM「サンライズすかがわ」月曜パーソナリティ
  • りかさん:猪苗代のギャラリーとセレクトショップ KUUHAKU店長